ファッションには一定の様式はあれど、原則「自由」という概念が一般的です。
所詮、「好き嫌い」に行き着く。
ところで、主題の「チェーンステッチ」。ジーンズ好きや、カジュアルファッションの歴史に興味ある人の多くが、この「チェーンステッチ」によるジーンズの裾上げを所望します。
何故でしょうか? あんな、ズボンの下の方の、余り人に見られないような場所の縫製仕様を指示するなんて、どうかしてるんじゃないでしょうか。(失礼)
ちょっと冷静になって、こちらの写真を見てみましょう。
どちらの写真も、ジーンズの裾にチェーンステッチがあって、しかもなんだかデニムが「捩れて」います。不良品じゃないでしょうか。(笑)
上の写真では、擦れて薄くなった線状の「アタリ」が、斜めに捩れてたくさん見えます。いいんでしょうか、これで。なんでこうなっちゃうんでしょうか!(難しい)
記事:『ジーンズチェーンステッチ 価値と歴史』
この写真は、当店がチェーンステッチ裾上げ専用に使っているミシン、Union Special 43200Gという機械です。1930年代にはカタログ第二版が出ているので、それ以前の1920年代には存在していたと思われます。(今からちょうど100年前)
このミシン、実は針が鉛直ではなくて、斜めに降りて来る機構になっています。紙面が足りず詳しくは書きませんが、針と一緒に生地に入る上糸を、チェーン状になった下糸にうまく通して結合させる為だと思われます。斜めの方が都合がいい。
この構造が原因で、針が生地を貫通して上下する時に、重ねたデニム生地が微妙にズレながら、自動送り機構で縫っていくので、ジーンズの横方向に生地が捩れながら縫われるという理解です。(ちと難しい)
こうして捩れて縫われたジーンズを長年穿いていくと、捩れによってできた山と谷とで摩擦の程度に大きな差が生まれ、また洗いと乾燥による糸とデニムの収縮と緩和のギャップで、デニムにパッカリングpuckeringというシワpuckerができ易く、アタリ(色落ちの濃淡)が強く出るのです。
もうお分かりですね。歴史的観点と技術的理解からして、
★本質的に正しい裾のパッカリング、アタリは、【針が斜めに降りるミシンとチェーンステッチ、綿糸で縫われること】が重要
★さらに、vintage感のあるチェーンステッチ裾上げは、vintageミシン+綿糸+糸テンション調整(上下糸)+デニム生地の特性に適合させること
によって、味わい深いチェーンステッチのアタリを楽しめるというわけですな。
もちろん、あくまで「好き嫌い、自由」ですよ。^^
当店が使うvintageミシンたち>
https://www.unionspecial43200g.com/sewingmachine
当店が使う糸>
https://www.unionspecial43200g.com/yarn
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